【現状維持バイアスとは?】ヒトは迷うと現状維持を選ぶ傾向がある
こんにちは、Yuzuruです。
今回は『現状維持バイアス』について解説します!
仕事や勉強など何でもそうですが、今までのやり方を捨てて新しい方法を試すときって、少し勇気がいりますよね。
また、会社や職場や家など、環境を変えた方が自分のために良いと思っていても、なかなかその環境から抜け出せなかった経験ってないでしょうか。
あれはその人の性格の問題などではなくて、そもそも人間に備わっている本能なのです..!
今回は現状維持バイアスとは何か、そして現状維持バイアスを外すにはどうすればよいのか、一挙に解説していきます◎
この記事はこんな方にオススメです◎
- 現状が不満だが抜け出せない・・
- 現状維持バイアスとは何か知りたい
- 現状から一歩抜け出したい!
目次(この記事を読んで得られること)↓↓↓
現状維持バイアスとは?
現状維持バイアスとは、「人が現状維持を好む傾向」を言います。
1988年に経済学者のウィリアム・サミュエルソン氏とリチャード・ゼックハウザー氏が論文で提唱したもので、
「人はある選択をするときに、一方が現状である場合は、現状を維持する傾向がある」ということを表現するために使った言葉です。
現状維持バイアスの背景には、以前解説した行動経済学の『損失回避性(プロスペクト理論)』があります◎
(詳しくはこちらをどうぞ↑)
人は現状から未知の状態に変化することを、「安定した現状がなくなってしまう損失」と考えてしまうんですね。
(引用:図解でわかる行動経済学入門)
そもそも、なぜ私たちには現状維持バイアスというものが備わっているのでしょうか。
これには、昔々人間がまだ狩りをしていた頃の遺伝子が残っているからだと言われています。
その時代、自分の知らない未開の地へ行くことは、命を落とすかもしれないという大きなリスクを伴いました。
『生き残るために、現状の安心安全の環境を維持し、リスクを回避する。』
つまり人間の「種の存続」という観点において、現状維持バイアスが働くことは正しいものだったのです..!
ただ、命に関わるリスクが少なくなった現代では、現状維持より未開の地へ行く方が状況を改善できる場面が多くなっています。
むしろ急速に変化していく社会の中では、現状維持では生き残れないこともあります。。
現状維持バイアスの具体例
では現代において現状維持バイアスが働くのはどんなときなのか、具体例をあげてみていきます◎
今の仕事が好きじゃないのに転職できない
今の仕事に不満があってモチベーションも低い、別業界に転職した方が給料もいいし将来性もあると思っているのに、転職できない..。
よく聞く話ですが、この原因がまさに現状維持バイアスによるものです!
一つは、「今の仕事に不満はあるけど、そこそこ生活も出来ている。..であれば、わざわざ転職しなくてもいいか」という考えになってしまう、惰性からくる現状維持バイアスが影響しています。
もう一つは、「今の会社で積み上げてきた実績や信頼を失ってしまう..それを捨てるのは勿体ない..!」という損失回避性からくる現状維持バイアスです。
営業先の保守的な顧客
営業やセールスをしていると、明らかに提案した内容(商品)の方が優れているしコスパも良いのに、顧客からは「別に今のままでいいよ」という反応をもらうことがあります。
営業経験者なら誰しも経験したことがあると思いますが、このようなとき、顧客には現状維持バイアスがかかっているのです。
現状維持バイアスがかかっている顧客には、2倍以上のメリットを提示しないと受け入れてもらえない可能性が高いとのこと!(後で解説します◎)
知らないレストランには行かない
知らないレストランに行ったりせず、チェーン店や馴染みのある店に行くのも、現状維持バイアスの影響を受けています..!
よく知らない、美味しいかどうかもわからない初めての店へ行くよりも、馴染みのある店に行く方がもちろん安心安全です。
慣れ親しんだモノやコトを望む傾向も、現状維持バイアスの特徴なんですね◎
保守派の意見が強くなる
社内や政治においても、たいてい改革派より保守派が強いものです。特に日本ではこの傾向が強いですよね。
これも一部の人間による損失回避性による現状維持バイアスが働いていることが理由の一つです。
保守派が強いのは、「改革によって大勢の人が薄く広く得られる利益よりも、一部の既得権益者が失う損失の方がはるかに大きい」からです..!
既得権益者は自分が損しないように全力で改革に反対します。政治家も経営者も、声が大きい方に傾いてしまいがちなので、保守派の意見が尊重されてしまうんですね。
なるほど、なかなか改革が進まないのも納得できますね。
有料オプションを解除しない
よく携帯電話を買うときに有料オプション機能が勝手につけられてることがありますよね。
「初月無料なので、不要な場合はご自身で解除してください」と説明されたりしますが、実はこれも現状維持バイアスを利用した売り方です..!(-。-;
なぜなら、そこまで必要を感じてなくても現状維持バイアスがかかって解除しない人が一定数いるからです。
(最近は苦情多数で、あまりなくなったようですが・・「初月無料」には注意ですね!)
現状維持バイアスを外す方法
では、ここからは維持バイアスを外す方法を5つご紹介していきます↓
- 現状を変えられない自分をなんとかしたい!
- 現状維持バイアスにかかった人をなんとかしたい!
という方は参考にしていただければと思います◎
1. 現状維持バイアスに気づく
まず第一に自分(or相手)が現状維持バイアスにかかっていることに気づくことが大切です!
相手や自分自身が保守的な考えをしたときは、
「あっ、今自分(相手)は現状維持バイアスにかかっているな(・_・」
と客観的に現状維持バイアスを認識しましょう。
2. 最悪のケースを想定する
最悪のケースをあらかじめ明確に想定しておくことで、現状維持バイアスにかかりにくくなります。
現状維持バイアスは損失を回避したいという本能からくるものです。
なのであらかじめ損失(最悪のケース)を明確に認識しておけば、「最悪のケース以上に事態が悪くなることはない」と心の余裕が生まれます。
つまり、現状維持バイアスを外して安定した状態で意思決定にのぞめるというわけです。
3. 明確に数字で表して比較する
現状維持バイアスを外すには感情による判断を排除しなければなりません..!
そのためには「現状」と「新しい環境」の両者を、具体的な数値やデータで比較することが重要です。
「本体価格」「性能」「運用コスト」「給料」「勤務時間」など、数値で表すことができる項目に注目して比較する(定量分析する)のがポイントです◎
「現状の数値」と「新しい環境での数値」を客観的に比べてみましょう。
4. 現状維持=損失と捉える
とはいえ、数字で比較してもピンとこない方もいますよね。「現状に不満はないから、わざわざ環境を変えなくていいよ(ーー)」と思っている人です。
そういう人には、「現状維持=実は損失になっている」と認識させるのが効果的です。
世の中は常に進化しています。そして人間は何もしないと常に衰えていきます。
つまり現状を維持しているだけだと、相対的に自分の価値がどんどん下がっていくのです。世の中のトレンドからも遅れていきます。
現状維持をしたい方は本当にそれを望んでいるのでしょうか?
そこに気付かせてあげられると現状維持バイアスから抜け出せるかもしれません。
5. 2倍以上のメリットを示す
ただそれでも!現状維持を選ぶという人は、今の環境を捨てるのが怖いという思考が働いているのかもしれません。
人間は一度手に入れた環境に、手に入れる前の約2倍の価値を感じるといいます・・!
ということは、今の環境より新しい環境にいく2倍以上のメリットを示せれば、現状維持バイアスを乗り越えれる可能性が高くなるということですね!
あくまで理論上はですが...
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は『現状維持バイアス』について解説いたしました!今回の内容をまとめると、
- ・人間には現状を維持したい本能がある
- ・現状維持バイアスの背景には損失を回避したい思いがある
そして現状維持バイアスを外すには、
- 1. まず現状維持バイアスに気付く
- 2. 最悪のケースを想定して心に余裕を持つ
- 3. 感情を排除し数値やデータを基に判断する
- 4. 現状維持は損失であると理解する
- 5. 2倍のメリットを提示すると現状維持バイアスを乗り越えられる
現代では悪いイメージで捉えられがちな現状維持バイアスですが、ビジネスの視点からすれば現状維持バイアスは相当応用されている心理傾向ですよね。
『一ヶ月目無料!』
『登録にはクレジットカードが必須』
『会員登録と同時に強制的にメルマガ購読』
『契約の自動更新』
などなど・・・
面倒ですが不要なものは不要なので、今後は意識して解除していきたいと思います(^_^;)
まだまだ日常に関わる人間の不思議(不合理的な行動)に関しては今後深掘っていきます!
お読みいただきありがとうございました。
それでは、新たな環境も歓迎しつつ・・・
Have a nice day♪
(行動経済学の参考本たちはこちら☆↓)
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- 行動経済学